自然派化粧品の成分表示によく登場するグリセリン、ステアリン酸、ミリスチン酸という名称。これらはいったいどんな成分なのでしょうか?原材料が違っていても、同じ成分名になるということもあるようです。
グリセリンには、動植物由来と石油由来がある?
グリセリンは、甘味のある無色透明の液体でアルコールに分類されています。甘味があるものは、少しベトッとした感触で、保湿性があります。甘いと保湿性があるのか?と不思議かもしれませんね。そうなんです。糖分には保湿性があるのです。飴やはちみつはなど甘いものはベトベトしますが、それは水分を含んで(保湿して)ベトベトしているのです。
化粧品には主にヘアコンディショニング剤、変性剤、保護剤、エモリエント剤として使用されています。また、手作り化粧水を作るとき保湿成分や、精油の基材としても使用されます。
もともとは油脂を精製する時の副産物で、植物・動物・石油由来のものがあります。
石油由来のグリセリンは、石油精製の際の副産物として発見されたようです。なんでも、石油を蒸留した際のパイプに付着していたベトベトを発見して、何かに使えないか?と考えたのが最初だったとか。他に石けん(油脂+苛性ソーダ)をつくる際の副産物としてもグリセリンが生成されます。現在植物グリセリンのほとんどはヤシ油から作られているようです。
このように原材料が全然違っていても、油脂から作られることは変わりなく、表記上は「グリセリン」となっています。
成分表示では、由来までは記載がないケースが多いようですが、そこまできちんと表記してくれるとありがたいです。
ステアリン酸ってなに?
ステアリン酸とは、動植物に含まれる飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸とは、常温では固体で、酸化しにくいという特徴があります。洗浄剤、乳化剤、油剤として使用されます。牛脂に特に多く含まれていて、石けんの原料や洗顔料、クレンジング剤、乳液、クリームとしてもよく使われています。
一言でステアリン酸といっても、石油合成と動植物由来のものが存在します。たとえ植物由来でも、合成されたものとなると、自然界には存在しない新しい化学合成物質となってしまいます。
たとえば、ステアリン酸グリセリルは、合成(ヤシまたは動物油脂)であり、保湿、乳化剤、合成界面活性剤、非イオン性界面活性剤として使用されていたりします。
合成成分を避けたい場合は、原料や成分と安全性を細かに見て確認することが大切ですね。
ミリスチン酸ってなに?
ミリスチン酸は、牛脂など、動物性・植物性脂肪中に広くみられる脂肪酸です。ヤシ油やパーム核油を加水分解した後、蒸留精製して得られます。潤滑剤、増粘剤、安定剤として使われています。パーム油に特に多く含まれるほか、気泡力があるので、石けんの原料や洗顔料としてもよく使用されます。
ミリスチン酸とつく化学合成されたものも多いです。例えば、ミリスチン酸Alは、ラード+ヤシの合成で、抗ケーキング剤、乳化安定剤、親油性増粘剤として使用されています。
他にもミリスチン酸PG、ミリスチン酸ミレス-3、ミリスチン酸イソプロピルなど多くの合成成分がありますので、原料や成分と安全性を細かに見て確認することが大切ですね。
なるべく自然なものを使いたい?
ラウリン酸/ミリスチン酸/パルミチン酸/ステアリン酸は、まとめて「グリセリズ」と呼ばれます。
植物や動物の中にある成分ですが、合成でこれらをつくれば(石油、石油+ヤシ)であれば、自然界には無いものとなります。
しかし、無添加化粧品、自然化粧品に多く使われている合成成分でもあるのです。手づくり石けんや手作り化粧品を作る人が基材として使用される場合もあるようですが、皮膚や粘膜から吸収され一定量を超えると毒性があるとされていますので使用には注意しておかねばなりません。
ちなみに、上記の「グリセリズ」は、天然の油脂に含まれている成分ですが、自然界において単体では存在していません。加水分解などの工程を経て分離しているものです。もし天然のまま使用するならば、「牛脂」や「ヤシ油」という表記になるのです。
ここの部分にこだわられるかどうかは、ご自身のご選択ですね。