シャンプーは、泡立ちが良いほうがしっかり洗えて優秀、というイメージがありますね。
確かに泡立ちが良いほうが、使用感もよく、満足感があります。
洗顔料もそうなのですが、泡が良く立つ程汚れを良く落とし、豊富な泡でお肌に負担なく優しく洗えると思っていませんでしたか?以前は私もそう思っておりました。
残念なお知らせなのですが、合成界面活性剤を多く配合すれば、どれだけでも泡を立てることはできるのです。優れているどころか、全く逆です。特に一般的な市販の合成シャンプーによく配合されている「高級アルコール系合成界面活性剤」は、驚くほど泡立ちをよくします。
高級アルコール系とは?
「高級アルコール系合成界面活性剤」は石油だけでなく、ヤシ油などからも作られます。ヤシは植物なので、それを植物性成分とうたっているメーカーもあるのですが、非常に強い洗浄力を持った合成界面活性剤であることには変わりなく、合成加工された結果、もはや植物成分の原型は残っていません。
また高級アルコールという名前から誤解されそうですが、別段上等なアルコールが使用されているわけではありません。正確には、「高級アルコール硫酸エステル塩」という合成界面活性剤です。
炭素の数が少ない場合に、低級アルコールと呼ばれ、炭素を6個以上持ったアルコールが高級アルコールと呼ばれます。ちなみに洗剤には炭素を10個以上もっている高級アルコール系合成界面活性剤が使われています。
炭素数が多くなるほど泡立ちが良くなり、洗浄力も増します。そして加工もし易くなります。原材料も安価なことから、大量生産するメーカーには非常に魅力的な材料なのです。
シャンプーによく使われる合成界面活性剤
シャンプーなどの化粧品での表示名である「ラウレス硫酸Na」「ラウレス硫酸TEA」となっているものが、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムであり、略してASと呼ばれます。また、「ラウリル硫酸Na」「ラウリル硫酸TEA」と表示されているものが、アルキルスルホン酸ナトリウムであり、略称はSASです。
これらは高級アルコール系の合成界面活性剤で、食器の油汚れをキレイに落としてくれる台所用洗剤にも使われています。洗浄力がとても強く、お肌に必要な油分(皮脂膜)まで落としてしまいます。油分が不足してお肌が乾燥すれば、頭皮に刺激を受けやすくなります。それは、痒みやアレルギー、抜け毛や薄毛の原因となったりもします。
脂質である皮脂膜や細胞膜まで溶かす
また、分子量が非常に小さいことから、こわれた皮脂膜を通過して頭皮から浸み込み、脂である体内の細胞膜(リン脂質)まで溶かし、壊してしまうのです。そうなると一緒に使用されている化学物質も同時に体内へ入り込みます。油分でできた化学物質は、脂と良く馴染む為、皮下脂肪、肝臓や腎臓などの内臓、子宮や卵巣、前立腺などの生殖器、脳など、脂肪の多いところで蓄積されてゆきます。動物実験では、胎児の生育にも影響を与えることが確認されています。
髪の毛をキレイに洗浄しているつもりが、そのような影響のあるもので髪の毛を洗うたびに体内に吸収される危険と隣り合わせであることを考えると無関心ではいられないのではないでしょうか?しかも生分解も遅く、川や海、そこで暮らす生物などの環境に与える影響も大きいのです。
泡立ちの良さが優れているシャンプーのバロメーターでは全くないのですよ。