アルコール(エタノール)ってどんなもの?
アルコール(エタノール)がお肌に良くないということで、「アルコールフリー」という化粧品が多くありますが、実際はどうなのでしょう。
化粧品でいうアルコールとは、エタノールのことを指します。
<エタノール>
酒の主成分で,無色,特有の芳香をもつ揮発性・可燃性液体。化学式 C2H5OH 慣用名,エチルアルコール。
工業的には,デンプン・糖蜜などをアルコール発酵させるか,エチレンから合成する。
殺菌・消毒用,医薬・溶媒,不凍液の材料,燃料などのほか,種々の化学工業用原料として用いる。
アルコール。酒精。出典:三省堂辞書
<慣用名>
酒精、アルコール、水和エチル、エチルアルコール、メチルカルビノール、NCL-CO-3134、テクソール、Ethan-1-ol、
エコ消エタ、オー消エタ、純生局エタ、純生消エタ、消エタコア、消エタサラコール、消毒用エタIP、消毒用エタノール、
消毒用エタノールFG、消毒用エタノールIPA、消毒用エタノールα、消毒用エタプロコール、消毒用エタプロコール-U、
消毒用エタライト、消毒用エタライト-B
アルコール(エタノール)といえど、これだけの慣用名があります。
お酒のように、お米やトウモロコシなどの植物を発酵させて作られるアルコールと、エチレン(石油由来の成分)と水から作られるアルコールがあります。一言でエタノールといっても、原材料がまったく違うのですね。
化粧品にエタノールを入れる理由は?
清涼感や防腐力向上目的に10%前後前後配合されています。
日焼け肌用化粧水や脂性肌、ニキビ肌の化粧水や、ヘアートニックなどに使用され、スースーしてさっぱりする使用感のために配合されています。
なぜ、スースーするのかと言うと、揮発性があり、蒸発するときに熱を奪うことで、清涼感を感じるのです。
1%以下で、成分表示の後ろの方にエタノールがあれば、それは植物エキスの溶媒*1として使用されたものとなります。
こちらはスースーした感じはありません。
*1
溶媒とは、個体・液体を溶かす物質のことをいい、工業用では溶剤と呼ばれます。
エタノールはなぜ殺菌消毒できるの?
アルコール(エタノール)の濃度は様々ですが、消毒用の濃度は70%です。
アロマセラピーで基材として使う無水エタノールやスピリタス(ポーランドのアルコール度数世界最高の酒)は濃度96~98度です。アルコール濃度が高ければ殺菌効果が高いかというと、そうではなく、水で薄めて70%くらいが一番殺菌効果があるそうです。面白いですね。
アルコール(エタノール)の殺菌作用のメカニズムは、以下のことがあげられます。
・細胞膜の脂質を溶かし出す。
・タンパク質の変性。タンパク質の構造を変化させて機能を失わせる。
・揮発性の高いエタノールが細胞内部に入ると揮発し、同時に細胞内部の他の液体も蒸発するため細胞内部まで乾燥させて細胞内にダメージを与える。
アルコールフリーが好まれる理由は?
上記のようなアルコール(エタノール)がもつメカニズムが、皮膚についている細菌を殺菌するということになりますが、このシステムが美容やお肌の健康にとってはマイナスになる人がいます。
また、敏感肌の人には少量のエタノールも刺激になるので注意が必要です。特に、飲酒が体質的に合わない人は気をつけなければなりません。
それらのことで、アルコール(エタノール)を使用していない、「アルコールフリー」の化粧品が好まれるようになってきたのです。
「アルコールフリー」の表記があると、低刺激で安心なのかしら?と思ってしまいますよね。
それとは裏腹に、アルコールが入っていることをアピールし、「アルコールが表面の角質を取り除いてクリアな肌にしてくれる」というようなフレーズも聞いたことがあります。この辺は、ご自分のお肌との相談になってくるのでしょう。
個人的には植物エキスを抽出するためにBGを使用、防腐のためにパラベンやフェノキシエタノールを使用するよりは、植物発酵のアルコールを使用した化粧品を使いたいですね。